■高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)に要注意 尿酸値から考える健康維持法
腎臓内科 科長 松山貴司(まつやまたかし)
尿酸は、プリン体が原料となって作られる老廃物です。プリン体には食事から摂取するものと体内で合成されるものがあります。正常では1日に産生(さんせい)された尿酸の大部分が腎臓(じんぞう)や腸から排泄(はいせつ)されますが、過剰に作られたり排泄が低下したりすると血液中の尿酸値が高くなり、7mg/デシリットル以上になると高尿酸血症と診断されます。
高尿酸血症の原因には遺伝的な要因に加え、食生活の乱れ、運動不足、肥満などが関与します。高尿酸血症が持続すると、関節に尿酸の結晶が沈着して「痛風(つうふう)」発作を起こすほか、尿路(にょうろ)に結石(けっせき)を生じたり、腎機能障害を招いたりすることがあります。さらに高血圧や動脈硬化の原因にもなり得るため、尿酸値の管理は健康維持に重要で、尿酸値は1年に1回程度検査することをおすすめします。
尿酸値の管理のためには、有酸素運動を取り入れた生活習慣の改善や適正体重の維持、食事療法が大切です。食事ではプリン体の多い肉類や魚介類、アルコールを控え、代わりに野菜や果物、乳製品を取り入れ、適度に水分を摂取しましょう。特に痛風だけではなく高血圧、腎臓病、心臓病、糖尿病などの持病のある方は、かかりつけ医に相談し、必要に応じて栄養指導や病態(びょうたい)に合わせた薬物治療を受けることが推奨されます。
適切な治療により、痛風発作だけではなく腎機能の低下や動脈硬化などを予防することができると考えられます。尿酸と上手に付き合い、健康で活力ある生活を心がけていただけますと幸いです。