■大切な人を思うとき 自分の最期を考えるとき
医療ソーシャルワーカー
増田由美(ますだゆみ)
一身専属権(いっしんせんぞくけん)という言葉をご存じでしょうか。これは、本人だけが行使でき第三者に譲渡できない権利です。実は、医療行為の決定権は本人にしかない一身専属権が原則なのです。つまり、家族や身元保証人、成年後見人であっても医療同意に関する権限がないということなのです。
ただ、本人の意識がない状態や認知症などにより、本人に医療行為を決定する能力や同意する能力がない場合もあります。その時は本人に聞くことができません。そのため医療に関する決定は、家族や親族、友人やケアマネジャーなど、本人のことを良く知る人達と医療者とで話し合いを行います。そこで重要なのは、家族などの意向ではなく「本人が望むこと」になります。
本人が元気であった頃に希望されていた医療行為や生き方などを、本人の代弁者として皆に伝えていただき、その希望を優先します。希望がなかった場合には、本人の生活の仕方や考え方などから、本人の意思を推定し、本人が望むであろう「最善の生き方(医療ケア)」について話し合います。
人生の最期まで本人の意向を伺うことができれば良いのですが、難しいのが現実です。時には医療ケアだけでなく、最期の時を過ごす場や、大切にしていた物の片付け、さまざまな支払いなどを誰かに託さなければなりません。最近は、一人暮らしの方も増え、誰に託して良いか分からないという方も多くなりました。また、いつ何が起こるか分からないため、若いから大丈夫ということでもないのです。
4月25日(土)に総合病院市民公開講座「大切な人を思うとき、自分の最期を考えるとき」が開催されます。今、ご自身に何かあったら誰に何を託すのか、一緒に考えてみませんか。

