■躁状態(そうじょうたい)について
精神科部長
岡田八束(おかだやつか)
気分の不調に関しては、気持ちが沈んで意欲が低下する鬱状態(うつじょうたい)が比較的よく知られていますが、それとは正反対の躁状態に関して、今回はご紹介します。
典型的な躁状態では気分が爽快で楽天的になると共に「自分が一番賢く正しい」と思い込みがちで、法律や規則を無視した行動を取りやすくなります。不機嫌で怒りっぽく、喧嘩っ早くなる場合もあります。
行動面では、「深く考えずにいろいろな事をやり始めては途中で気が変わって投げ出し、別の事に手を出すことを繰り返す」「必要がないのに、支払いのできないような高額な買い物をする」「急にギャンブルにのめり込む」「大声で一方的に話し、唐突に話題が切り替わるので相手を戸惑わせる」「短時間しか眠らず疲れた顔をしているのに、疲労を自覚せず体調は非常に良いと主張する」などの症状が、7日間以上続くことで診断されます。
これらの症状により本人の様子が一変してしまい、社会生活でトラブルが増えて家族や職場の大事な人間関係が悪化し、仕事や財産を失う場合や交通事故、暴力行為で刑罰に問われる恐れもありますが、本人は「絶好調だから治療なんて必要ない」と思ってしまうなどの問題もあり、精神疾患の中で最も対応が難しい状態だという意見も聞かれます。
躁状態だけで終わることは少なく、大半が躁状態と鬱状態を繰り返すことも患者さんの生活を困難にします。気分の波を抑える薬を内服することで治療や再発予防が可能ですが、少し症状が軽く期間の短い軽躁状態に対しても同様の治療が必要です。

