■がん以外の疾患でも活躍する放射線治療
放射線治療科 医長
朝生智之(あさおともゆき)
放射線治療は主にがんに対して行われる治療法ですが、その他の病気に対しても有用な場面があります。今回は、それらの中でも比較的身近なものをご紹介します。
一つ目はケロイド。皮膚の傷痕(きずあと)が固く盛り上がる疾患です。手術の痕(あと)やピアスを開けた穴にできる例が多いです。見た目の変化に加えて、かゆみや痛みを伴ったり、取り除いても再発する場合があります。そういった手強いケロイドの再発を防ぐため、固くなった部分を手術で切り取った後(当院では手術と同日)に放射線照射を行います。平日3〜4日間の通院治療で、手術部分の皮膚に限定して放射線を当てます。主な副作用は一時的な皮膚炎(日焼けのような変化)です。
二つ目は甲状腺眼症(こうじょうせんがんしょう)。眼球が収まっている部分(眼窩(がんか))の炎症によって、視みえ方の異常・眼球の突出・眼の痛みなどを生じます。主に甲状腺の病気に関連して現れますが、甲状腺機能が正常でも免疫系の異常で起こることがあります。
中等度から重症の場合に、症状を和らげる目的の放射線治療が選択肢に挙がります。左右から眼窩を挟み込むように放射線を当てる、平日10日間の治療です。副作用として結膜炎・角膜炎などが起きますが、ほとんどは軽症です。また眼のレンズ(水晶体(すいしょうたい))に照射されると後(のち)に白内障(はくないしょう)を生じますので、可能な限りレンズを避ける工夫をします。発症した場合も眼科手術で治療可能です。
いずれもがん治療よりは少ない放射線量で行われ、身体への負担も軽い治療です。状況次第で治療法の向き不向きがありますので、詳しくは主治医にお尋ねください。

