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健幸plus+ 市立総合病院からのお知らせ

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静岡県磐田市

■「オンダンセトロン」って何?手術後の吐き気を軽くする薬の話
麻酔科科長 桂川孝行(かつらがわたかゆき)
手術後に「気持ちが悪い」「吐きそう」と感じることは珍しくありません。この悪心(おしん)や嘔吐(おうと)は、手術後の患者さんの3〜8割に起こる一般的な合併症です。女性、若年者、過去に乗り物酔いを経験した人は特にリスクが高いとされています。この症状は、時には手術後の痛みよりもつらく感じることがあり、患者さんの満足度を大きく下げてしまうことになります。そのため、あらかじめ効果的な予防や治療を行うことがとても重要です。
この対策として注目されているのが、オンダンセトロンという薬です。もともとは抗がん剤による吐き気を抑えるために開発されましたが、手術後の悪心や嘔吐にも効果があります。そのため、海外では一般的に使用されていましたが、2021年にようやく日本でも手術後の使用が保険適用になりました。
吐き気は、麻酔薬や痛みなどによって、腸や脳の中の特定の場所にある受容体が刺激されて引き起こされます。オンダンセトロンは、この受容体をブロックすることで、手術後の悪心や嘔吐を予防、軽減する働きがあります。
アメリカのガイドラインでは、リスクが高い人には複数の薬を組み合わせて予防する方法が勧められています。その中でも、オンダンセトロンは中心的な薬として位置づけられています。副作用はまれですが、頭痛や心電図の変化が見られることがあります。そのため、医師が患者さんの状況を判断して使用する薬です。
手術後の吐き気は「我慢するもの」ではありません。安全性が高く効果も証明されているオンダンセトロンなどの薬を活用することで、つらい症状を予防、軽減することができるかもしれません。

       

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