■祈る平和から創る平和へ
市は、次世代を担う子どもたちに戦争の悲惨(ひさん)さや平和の大切さを感じてもらい、自ら何ができるかを考え、学校や家庭、地域へ伝えてもらうことを目的として、平成22年度から広島平和記念式典に磐田の子どもたちを派遣しています。
戦後80年が経過し、被爆者から当時の様子を直接聞く機会は少なくなっています。だからこそ、この貴重な経験をした子どもたちが被爆者の方々の代わりとなって伝えてくれることが大切と考えています。
また、今回初めて開催された「第1回全国こども平和サミット」では、祈る平和から創る平和へと、子どもたちが学びを生かし、身近な争いをなくすことに取り組んでほしい、というメッセージが伝えられました。
広島の地では、安田女子中学高等学校の生徒やボランティアガイドなど、当時の状況を伝えることで平和を創ろうとしている方々に出会いました。こうした活動の紹介とともに、子どもたちの声をお伝えします。
(合計33人)
※詳細は本紙P.3をご覧ください。
■平和は私たちが創っていく
◆令和7年度 広島平和記念式典
8月6日の広島平和記念日に国内外から参列者が集い、原爆死没者の霊を慰めるとともに、世界恒久平和の実現を祈念しました。子ども代表の平和への誓いは、多くの児童生徒の心に響きました。
◆平和記念公園 広島平和記念資料館
子どもたちは、ボランティアガイドから被爆当時の様子や平和記念公園内にある慰霊碑について話を聞きました。また、広島平和記念資料館では、当時の写真や絵、被爆者の手記などを見学しました。
◇児童生徒の感想
・豊岡中 大西真緒さん
広島へ実際に足を運んでみて、戦争や平和についての考え方が大きく変わりました。さまざまな話をしてもらったり、目にしたりして、まず初めに感じたのは、自分の戦争や平和に対する認識が甘かったということです。特に、一番心に残っているのは、実際に被爆した方がしてくれた当時の話です。言葉の一つ一つが重く、今まで見てきた映画のような光景が実際に80年前に起こったんだということを感じさせられました。被爆者やそもそも戦争を経験した人が減っていく中で、とても貴重な体験をさせていただいたので、しっかり伝えていきたいと思いました。
・福田小 鈴木大良さん
僕が一番心に残った場所は、広島平和記念資料館です。そこで何万人もの人が原爆によって亡くなり、生き延びた人の後遺症や心の傷を見た時、さぞ苦しかったろうに、それでも後の世代に伝えていこうとする姿をすごくかっこいいと思いました。僕も学校に帰って、全校に伝えたいと思いました。
◎「令和7年度広島平和記念式典小中学生派遣事業」
児童生徒全員の感想文は、市ホームページでご覧いただけます
◆安田女子中学高等学校
安田女子中学高等学校は、当時、爆心地から1.4キロメートルの距離にあり、原爆の投下で甚大な被害を受けました。派遣団は、同校の生徒から校内に残る被爆桜の苗木を全国各地に送っていたことや、現在は被爆桜の存在を中心に据えて平和の大切さを未来に伝える活動を行っていることについて、説明を聞きました。また、学校敷地内を見学し、犠牲となった生徒の慰霊碑に千羽鶴を奉納しました。
◆全国こども平和サミット
第1部「被爆体験を学ぼう」では、被爆から復興までの疑似体験映像を視聴し、被爆体験証言者の講話を聴きました。第2部では「平和のバトンをつないでいこう」と題し、会場に集まった子どもたちに向け、北海道、千葉県、長野県、岡山県などの中学生や高校生が、平和への取り組みを発表しました。
◆磐田で語る平和への思い
◇ラジオ番組に出演
・神明中 三浦唯さん
私は、平和記念式典の中で子ども代表が話した平和への誓いが印象に残っています。いつかは訪れる被爆者のいない世界で、被爆者の声を次の世代へ語り継ぐという強い決意が感じられました。私も平和な世界を目指すために自分ができることを考える貴重な機会になりました。
・田原小 一松美月さん
実際に行かないと分からないことなどを見たり聞いたりしたことで、たくさんの人の思いを知って、平和への考え方が変わりました。全国こども平和サミットで聞いた「祈る平和から創る平和へ」という言葉から、自分がする一つ一つの行動が平和への一歩なのだと思いました。
◇磐田市平和祈念式
・南部中 藤ヶ谷美怜さん
今回の広島派遣で、さまざまな体験をし、原爆死没者慰霊碑に刻まれていた「過ちは繰り返さない」という思いが強くなりました。広島平和記念式典の黙祷による犠牲者への祈りを、実際に自分の目と耳、肌で感じたことで理解を深めることができたと感じています。
今もなお、世界では紛争が起きており、苦しんでいる人がたくさんいます。異なる民族や宗教の価値観の違いを受け入れることは簡単なことではありませんが、相手の考えを尊重し、理解しようと努めることが大切だと思います。そして何より、当たり前の日常に喜びと感謝を感じることができれば、平和な世界に一歩でも近づくのではないでしょうか。一日でも早く世界に平和が訪れますように。
問合せ:総務課
【電話】37–4803
【FAX】37-4829