■「痛み」の種類に応じた治療
整形外科科長
三原唯暉(みはらゆうき)
整形外科を一言で表現しますと「頭や胸、おなか以外の身体の痛み」を治療する診療科と言っても良いと思います。なぜなら、外来を訪れる患者さんのほとんどがその痛みを訴えて受診されるからです。
痛みには大きく分けて侵害受容性疼痛(しんがいじゅようせいとうつう)、神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)、痛覚変調性疼痛(つうかくへんちょうせいとうつう)の3種類あります。
侵害受容性疼痛は、いわゆる炎症に伴う痛みで、膝の関節痛などが該当します。
2つ目が神経障害性疼痛で、整形外科疾患の中でも脊椎脊髄疾患(せきついせきずいしっかん)で多くみられ、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)に伴う下肢痛(かしつう)などが良い例です。腰骨(こしぼね)のすぐ後ろには下肢につながる神経が全て通っています。そのため腰が悪くなってきて腰骨が変形したり、ヘルニアが出てしまったりして、下肢の神経が圧迫されると下肢の痛みやしびれが出てきます。
3つ目が痛覚変調性疼痛です。これは痛みが慢性的に続くと脊髄での痛みを抑える機能が徐々に障害されてしまい、普段では痛みに感じないような軽い刺激も痛みと認識してしまうようになる状態です。この痛覚変調性疼痛も脊椎脊髄疾患で多くなっています。
私たち整形外科医は、痛みの種類に応じて薬剤や治療法を使い分けて診療しています。もしも「頭や胸、おなか以外の身体の痛み」でお困りの方がいましたら、整形外科を受診していただければ幸いです。