■「血が止まりにくい…これって病気?」出血傾向(しゅっけつけいこう)について知ろう
血液内科医長
中野 洸太郎(なかの こうたろう)
「ぶつけた記憶がないのに青あざができていた」、「歯を抜いたら血が止まらない」、「鼻血が止まらない」こんな症状が続いていませんか?
これらは「出血傾向」と呼ばれ、血液が正常に固まりにくい状態のサインかもしれません。
血管が傷つくと血小板が集まって血を止める仕組み(止血)が働きます。この機能に異常があると、血が止まりにくかったり、少しの刺激で出血したりします。
細かく見ると、血小板による止血(一次止血)と凝固因子による止血(二次止血)で成り立っています。一次止血は傷ついた血管をホッチキスで止めているようなイメージです。しかし、それだけでは容易に外れてしまいます。その部分を接着剤でしっかりと補強するのが二次止血です。「血をサラサラにするお薬を出しますね」と言われることがありますが、このような止血機構※に対して作用するお薬が出されているのです。
すべての出血傾向が止血機構の異常から起こるわけではありません。加齢により血管が弱くなってできる青あざや血圧が高いことによる鼻血、お薬の影響で出血しやすいなどの方が多くみられます。しかし、血小板や凝固因子の異常を放置すると命にかかわる出血を起こしたり、その裏側には重篤な病気が隠れていたりすることがあります。
私たち血液内科医は、出血の程度や場所、血液検査の結果を確認しながら診断していきます。気になる出血傾向がある場合には、医療機関への相談を検討してください。
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