■スポーツを見る・観る・視る・診る
静岡産業大学 スポーツ科学部准教授
徐 広孝(じょひろたか)
地域ブランド調査※で常にトップ争いをしている磐田市には、多くのスポーツ愛好家がいらっしゃいます。リアルの試合はもちろん、インターネットやテレビで日常的にスポーツをみている人も多いことでしょう。そんな皆さんに質問です。あなたにとってのスポーツを「みる」は、どのようなことを意味しますか。漢字で書いてみて下さい。
「見る」は単に視界に入っている程度の意味ですから、多くの方は「観戦」という言葉にも使われている「観る」(意識を向けながらみること)を思い浮かべたのではないでしょうか。その他にも、細部に焦点を当てることを意味する「視る」もあります。上手な人のシュートフォームをよく視て練習する、といった場合にあてはまります。もうひとつ、皆さんにお伝えしたいのは「診る」です。診察の「診」という字ですが、これはスポーツを分析するという意味です。医者が患者を診察するときは、血圧やMRIを測定したり̏日常に学びをプラス̋がくしゅうぷらすしますよね。つまり、症状を示すデータを使って診断をします
。スポーツも同じで、自分や相手のデータを集め、それを分析することによって客観的で効率的な判断をすることができます。こうしたデータ活用は選手だけのものではありません。例えばプロリーグの公式サイトでは、過去の試合や選手に関するさまざまなデータが公開されていますので、それと一緒に試合を観戦することによって、ファンやサポーターとしてこれまでとは違う楽しみ方ができます。
このようなデータ活用を研究する分野をスポーツデータサイエンス、あるいはスポーツアナリティクスといいます。今、急速に発展している注目の分野であり、今後ますます新しいスポーツとの関わり方が生まれてくるでしょう。
※ブランド総合研究所が実施する調査の「スポーツのまち」として思い浮かぶ市町村ランキングで、磐田市は過去5年間1〜2位となっています。