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健幸plus+ 市立総合病院からのお知らせ

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静岡県磐田市

■片頭痛(へんずつう)は予防の時代へ
脳神経外科部長 日本頭痛学会専門医
天野 慎士(あまの しんじ)

全人口の約4割は慢性的な頭痛を持っています。その中で片頭痛が約4分の1を占め、その4分の3の人は生活に支障が出ているといわれています。
しかし、病院にかかったことがある人は4分の1程度に過ぎません。磐田市でいうと、慢性頭痛患者は6万5千人を超え、片頭痛患者は1万5千人程いると考えられます。たかが頭痛と捉える人もいれば、頭痛により生活に支障が出ている人も多くいます。
軽度の片頭痛は痛み止めの内服で対応できることが多いです。効果的な薬剤や内服するタイミングによって頭痛のコントロールが可能なこともあります。しかし、痛み止めを使用する頻度が増えると、薬物乱用頭痛といわれる難治性(なんちせい)の頭痛になることがあります。
片頭痛発作が月2回以上ある人に対しては、予防療法を検討することが推奨されています。しかし、既存の予防療法は、使用できる条件があったり、効果が出るまで時間がかかったりし、著明な効果が見られる人はあまり多くありませんでした。
しかし近年、片頭痛の発症に関与しているCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)に対する薬剤が使用できるようになりました。この薬は、頭痛を起こさせる物質を、痛みを感じさせる神経に届かないようにします。片頭痛抑制効果が早期に発現し、副作用も少なく、約半数の患者が片頭痛日数を半分に抑えられているという結果が出ており、中には片頭痛が全く起こらなくなる人もいます。
片頭痛は体質的な要因が強く、なかなか完治する病気ではありません。しかし、新たな予防薬の登場により、よりうまく頭痛と付き合っていける状態となる人が増えています。

       

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