■二次性高血圧(にじせいこうけつあつ)
糖尿病・内分泌内科
飯野和美(いいのかずみ)
日本の高血圧患者さんは約4300万人といわれており、そのうち1500万人以上がお薬を飲んでいます。高血圧の基準は上の血圧(収縮期)140mmHg、下の血圧(拡張期)90mmHgで、このどちらかまたは両方が基準以上となった場合に診断されます。ご自宅で測定した場合はもう少し低い値が基準です。
さて、高血圧患者さんの約9割は、体質、塩分のとりすぎ、肥満、加齢などを背景に発症する「本ほん態たい性せい高血圧」と考えられています。残りの1割が、他の病気やお薬など、血圧が上がった原因が特定される「二次性高血圧」です。糖尿病・内分泌内科では、ホルモンが引き起こす二次性高血圧の専門的な検査を行っています。
左右の腎臓の近くにある副ふく腎じんという臓器は複数のホルモンを血液中に出しています。その中の一つ、アルドステロンは体内の塩分や水分の量を調整して血圧を保つ働きをしていますが、必要以上に出てしまう「原発性アルドステロン症」は二次性高血圧の代表的な病気です。血液中のアルドステロンが高くないか、副腎にホルモンを勝手に出す腫瘍(しゅよう)ができていないかなどを調べて診断します。
二次性高血圧は、本態性高血圧に比べて、若い年齢でもなりやすい、何種類もお薬を飲む方が多い、心臓・脳・腎臓への負担が大きいなどの特徴があります。もし原因が見つかれば、それを取り除くことで血圧が下がる可能性がありますし、効果的なお薬を選ぶこともできます。高血圧治療の際には、二次性高血圧の検査の必要性についても、かかりつけの先生と相談することが大切です。