■誰もが輝ける 日本一 ウェルビーイングなまちへ
静岡産業大学 経営学部 教授
岩本武範(いわもとたけのり)
皆さんは、日々の暮らしの中で、どのような時に幸せを感じますか?家族との団らん、趣味への没頭、あるいは磐田の豊かな自然に触れた時かもしれません。磐田市では今、この一人一人の幸せ、すなわち「ウェルビーイング」をまちづくりの中心に据える新しい挑戦が始まっています。
ウェルビーイングとは、一時的な気分の高揚だけでなく、心も身体も、そして社会的にも満たされた持続的に良い状態にあることを指します。磐田市では、市民一人一人の声に耳を傾け、このウェルビーイングをまちづくりの大切なものさしにしようという動きが始まっているのです。無論、これまでも磐田市はその精神で職務を行ってきたことは言うまでもありません。
ところで、私の研究では、たとえば市民の皆さんの心の状態を、健康診断で測るバイタルサインのように捉え、「幸せバイタル」と呼んでいます。生きがいや人とのつながり、安心感といった、目には見えないけれど大切な心の健康状態です。これらの幸せバイタルが高まる政策とは何かをデータで分析し、磐田市政に提案することで、誰もが暮らしやすいまちづくりを目指すのが、研究者としての使命だと考えています。そして、その根底にあるのが「心の余裕=ASOBI(あそび)」という考え方です。少しの余裕があることで、人も街も折れにくく、しなやかに未来へ歩んでいけるのです。
市民の皆さん一人一人の日々の実感が、これからの磐田市の未来を照らす、かけがえのない羅針盤となります。誰もが輝ける、日本一ウェルビーイングなまちへ。磐田市の挑戦は、まだ始まったばかりですが、暮らす人たちの心やまちに、少しでも温かな空間が育まれることを願います。