■加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)とは
ものがゆがんで見えたり中心が黒く見えたりしませんか?
眼科医師 三浦駿大(みうらとしひろ)
加齢黄斑変性は、目の中の網膜(もうまく)の中央にある「黄斑」という部分が、加齢によって変性し、障害される病気です。中心が見えにくくなったり、直線が波打って見えたり、中心が黒く見えることがあります。特に50歳以上で発症が増加し、喫煙や家族歴がある方はリスクが高くなります。
加齢黄斑変性は「新生血管型」と「萎縮型」に分けられます。日本では、新生血管型の中でもポリープ状脈絡膜(じょうみゃくらくまく)血管症(PCV)が多く見られます。診断は視力検査や網膜の断層撮影(OCT)、必要に応じて蛍光造影(けいこうぞうえい)検査や眼底写真で行います。
「新生血管型」は、抗VEGF薬の硝子体(しょうしたい)内注射(目に直接薬を注射)で進行を抑えます。治療初期には月1回程度の注射を数回行うことが多く、外来で実施します。治療により、多くの場合、視力低下の進行を防ぐことが可能ですが、経過観察のための通院も必要になります。
「萎縮型」は、残念ながら有効な治療法が限られますが、進行を遅らせるために禁煙と野菜・果物・魚を中心とした食事が重要です。また、ビタミンやミネラルを含むサプリメントが視力低下を遅らせる可能性があり、医師と相談のうえ服用が勧められます。
早期発見・早期治療で視力を守れる可能性がありますので、年1回以上の眼科検診や、自宅でのアムスラーチャートによる中心視力チェックが有効です。見えにくさで日常生活に支障がある場合は、拡大鏡や各種補助具の利用も可能です。見え方に不安があれば、まずはお近くの眼科を受診しましょう。