■有機農産物を見たことありますか?~がんばっている静岡県の有機農業~
静岡県立農林環境専門職大学 短期大学部 教授
横田茂永(よこたしげなが)
農林水産省の「みどりの食料システム戦略」では、2050年に達成する目標の一つとして、耕地面積に占める有機農業の取組面積25%(100万ヘクタール)を掲げています。
有機農業は、化学合成農薬、化学肥料、遺伝子組換えを原則使用しないで栽培するものですが、これが公表された2021年は0.6%なので、なかなか意欲的な目標といえます。2022年には0.7%に上がりましたが、まだ道のりは遠いです。
この目標数値の中にはJAS法に基づいて第三者機関によるチェック(認証という)を受けている場所と、それと同等とみなせるが認証を受けていない場所の2つが含まれており、2022年現在で6対4ぐらいの比率です。認証を受けている場所でつくられた有機農産物には、有機JASマークが貼られ、スーパーマーケット、生協、専門店などで販売されています。
有機農産物なんて見たことないという方もいらっしゃるでしょうが、認証を受けている面積で、静岡県は47都道府県中8位と案外多い状況です。特にお茶に限ると2位となり、認証を受けている面積全体に占める茶の面積割合では1位となっています。
古くから有機茶栽培に取り組んでいる農業者は国内の販路も確保していますが、新しく取り組み出した農業者は海外への輸出が頼りです。日本が輸出している有機食品のうち数量ベースで6割が茶となっており、これまで順調に伸びてきています(2023年)。
磐田市での有機農業の取り組みはまだ少ないですが、オーガニックビレッジ宣言(農林水産省の有機農業を支援する事業)をして、取組面積が飛躍的に拡大する日が来るかもしれません。