■ポリファーマシーを防ぐために
薬剤部長
太田敦代(おおたあつよ)
ポリファーマシー、テレビなどで紹介されているのを聞いたことがあるのではないかと思います。
ポリファーマシーとはポリ(多くの)とファーマシー(調剤)を合わせた造語ですが、単に薬の数が多いことを言うのではなく、多くの薬を飲んでいることにより副作用を起こしたり、飲み間違いや飲み忘れなどにより、きちんと薬が飲めなくなっている状態を言い、特に高齢者で問題となっています。では、なぜポリファーマシーが起こるのでしょうか?
高齢になると、複数の病気にかかる方が増え、飲む薬も多くなってきます。さらに、加齢により肝臓や腎臓の働きが弱まることにより、薬が体内に留まる時間が長くなるため、薬同士が影響し合う相互作用なども起こり、薬の効きが変化したり、副作用が出やすくなったりします。その他にも、薬によって起こった症状のため、さらに薬が多くなる悪循環が起こることもありますし、薬が多すぎて管理が難しくなると、きちんと正しく飲む意欲が低下してしまうこともあります。では、このようなポリファーマシーを防ぐためにはどうしたらよいでしょうか?
薬が多いことが必ずしも悪いわけではありません。自己判断で急に服用をやめると症状が悪化し、思わぬ副作用が出ることがありますので、勝手にやめることは控えてください。飲んでいる薬の数が多くて心配な方や気になる症状などがある場合には、医師や薬剤師に相談しましょう。その際には、薬だけでなく健康食品やサプリメントなどもすべて伝えてください。そのためにお薬手帳を一冊にまとめて持ち、気になる症状などをメモしておくとよいでしょう。かかりつけ薬局・薬剤師を持ち、自分の飲んでいるお薬の情報を把握してもらうとより安心できると思います