磐田市立総合病院
◆医師の長時間労働で支えられてきた医療
令和6年4月から、物流業者や医師の「働き方改革」が始まっています。
これまで皆さんが地域で医療を受けられる体制は、医師の長時間労働によって支えられてきました。しかし、病院に勤務する医師も一般の会社員と同じ労働者です。そこで、医師の健康を確保し、安定的な医療提供を継続するために全国で働き方改革が進められています。
特に中東遠地域は医師少数区域となっており、磐田市立総合病院も限られた医師数で診察や手術をはじめ、病棟回診・病状説明・急患対応にあたっているのが現状です。
◆医師の働き方改革の目的
[1]医師の確保
人口減少社会を迎え、医師を含めて医療従事者の確保が難しい時代になってきています。今までどおりに少数の医師の長時間労働で補うのではなく、より働きやすい環境を整備することが安定的な医師確保のために大切です。
[2]医師の健康確保
長時間労働による睡眠不足は医療ミスにつながる可能性があります。必要な休息を取れるようにすることで医師の健康を確保し、必要な医療を受け続けられる体制づくりを目指します。
[3]医師の意欲向上
勤務以外の時間が増加することで、家族との時間や研究・学習のための時間を確保できます。これが医師のやりがいアップにつながり、さらに地域医療の発展にもつながります。
◆市立総合病院の状況
令和6年4月現在の市立総合病院の医師数(初期研修医を除く)は135人です。平均年齢は40.5歳、男女比は男性78%、女性は22%となっています。50歳以上の医師は31人(23%)勤務しており、このような体制で地域の基幹病院としての役割を果たしています。
また、令和5年度に救急車で搬送された患者数は、過去5年間で最大の5,761人となっています。そのうち入院となった患者の割合は42.5%です。
〈市立総合病院に救急車で搬送された患者数と入院率〉
◆安全で質の高い医療の提供を続けていくために
働き方改革担当理事 松本圭五
医師も医療者である前にひとりの人間であり、労働者です。以前から長時間労働による健康被害が懸念されています。
国は、令和6年度より医師の健康確保を目的に、これまでなかった医師の時間外・休日労働の上限を設ける「医師の働き方改革」という制度を始めました。人命を預かる医師であるため、時には長時間の時間外労働を行うこともあります。その場合は、面接指導を受けることや勤務間インターバル(休息原則9時間の確保)・代償休息などが制度化されました。当直明けや夜間の緊急呼び出しなど、寝不足で疲労した状態が続くと判断力の低下を招きます。このような状態では、安全で質の高い診療ができなくなってしまいます。一方、これまでどおり地域の医療や救急を守るという当院の役割に変わりはありません。
より良い医療を続けていくためにも、ちょっと気になる体調の変化がみられた際には、身近な医師にまずご相談してください。救急外来の適時利用、勤務時間内の病状説明など、市民の皆さんには十分ご理解をいただき、ご協力をお願いします。
◆地域の医療を未来につなぎましょう
忙しい医療現場に勤務する医師には、長時間労働が起こりやすい状況でした。そこで、市立総合病院は働き方改革の取り組みの一つとして、従来医師が担っていた業務のうち医師以外が対応可能なものを他の職種に委譲し、医師の業務量削減につなげています。
市立総合病院が医師の健康を確保し、今後も安全で質の高い医療を提供するために、市民の皆さんにお願いがあります。
[1]病状説明を医師の勤務時間内に行うことにご理解・ご協力をお願いします。
[2]皆さんが安心して救急医療を受けられるように、救急外来のかかり方や救急車の適正利用について周りの人たちと考えてみましょう。
[3]上手な医療のかかり方として、身近な地域で健康に関する相談ができる医師を持っていただき、日々の健康管理に努めてください。
〈市立総合病院の医師の負担軽減に向けた取り組み〉
・医師から看護師・技師等への役割分担の促進
・勤務間の休息時間確保の促進
・医師による勤務時間内の病状説明の実施
・働きやすい職場環境の整備(研修棟の建設)
・当番制による診療料の休日業務の調整