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人権コラム vol.88

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静岡県磐田市

■みんな、《な》がつくね。
ふれあい交流センター センター長
袴田恭紹(はかまたやすつぐ)

子ども料理教室に参加している子どもたちの活動の中から、次のような声が聞こえてきました。「みんな《な》がつくね」お互いの名前がわかるように、エプロンの上につけた参加者用名札を見てみると、そのグループには「ななこ」さん、「かな」さん、「まなか」さん、「りな」さんという名前が書いてあるではありませんか。子どもたちは、お互いの名札を見合って、「本当だね」「おもしろいね」という声と共にはじける笑顔が続きました。タイミングよく講師の先生から、「チームなっちゃん、かっこいいね」と声がかけられました。
この会話をきっかけとして、グループの活動が活発になり、それまで、なかなか活動に入っていけなかった1年生の女の子が、一緒に活動を始めました。学校も学年も違う子どもたちが市内から集まり、一緒に料理を作っていくのですから、抵抗があるのも無理はありません。見えない糸を繋ごうとする言葉から一体感が生まれ、自分とみんなは同じであるという安心感に包まれたのでしょう。子どもも、雰囲気を一瞬で変えることのできる魔法のような力を持っています。
さて、共感力という言葉を聞いたことがあるでしょうか?相手の置かれている状況や気持ちを推察し、相手に寄り添うことのできる能力のことを言うそうです。同じグループになった子の名前に、みんな《な》という文字が入っていることに気づく力。声が上がった時、一緒になって発見を喜ぶ力。あえて力と書きましたが、まさに共感力であると思います。グループ内の発言に対して「それが、何?」という反応では、心も体も凍りつき、活動が減退してしまいます。

「あなたは、人権を尊重していますか?」と正面から聞かれると答えに窮する人が多いと思いますが、人権を尊重することは、特別なことではありません。それは、人を大切にすることであり、普段から行っていることです。あいさつをしたり、話し合ったりする時に、相手のことを大切にしているでしょうか。前述の子どもたちも講師の先生も、一緒に活動している人たちを大切にしているのが、よく分かります。
誰もが持っている共感力が磨かれていけば、高まっていけば、人権に関する問題は起こらないようになっていくのではないでしょうか。

       

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