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健幸 plus+ 市立総合病院からのお知らせ

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静岡県磐田市

■病理解剖について
第3医療部副部長
兼 病理診断科部長
兼 病理診断センター長
鈴木 潮人(しおと)

解剖という言葉について、どのような印象をお持ちでしょうか?女優の名取裕子さんや石原さとみさんを思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、テレビドラマなどで取り上げられるのは法医解剖が多く、これらは、事件や事故に関する死亡を主な対象としています。
一方、病理解剖では、病気のために亡くなられた患者さんのご遺体を解剖し、臓器、組織、細胞を詳しく調べます。医療の進歩は目覚ましく、当院でもさまざまな高度な治療方法が用いられています。しかし、残念ながら、病気によって亡くなることから完全に逃れることはできません。
そこで、さらに医療を進歩させるために、診療効果や問題点を検証する必要があります。例えば、私が経験した解剖症例では、直径数ミリ大の原発巣※を見つけることができました。このような微小な病変を生前の画像検査で発見することは難しく、医療従事者にとって勉強になります。そして、こうした貴重な経験は、未来の患者さんへの治療において役立ちます。これらは、故人やご遺族にとって直接的な利益とはなりませんが、医学への大きな貢献であることは間違いありません。さらに、死因が明らかになること、生前、体の中で何が起こっていたのかが分かることは、ご遺族にとっても意義のあることだと思われます。そして、生前に苦しめられた病変が切除されたうえで故人が天国へ旅立つことができると考えていただくこともできます。
悲しみの中におられるご遺族に病理解剖の承諾をいただくことは心苦しいものではありますが、ご理解をいただければ幸いです。

※がんが発生した病変のことで、例えば、最初に胃がんとなり、肺に転移すると原発巣は胃がんとなります。

       

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