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健幸 plus+ 市立総合病院からのお知らせ

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静岡県磐田市

■命にかかわる気胸(ききょう)のはなし 緊張性気胸とは?
呼吸器外科部長 望月 孝裕(もちづき たかひろ)

気胸は、多くの場合、肺に穴があき空気が漏れることで起こります。漏れ出した空気が肺を圧迫するため、胸痛、咳、息切れといった症状が現れます。
原因として、肺にできた小さな袋に穴があくこと(特発性自然気胸)、肺気腫(はいきしゅ)や結核、腫瘍(しゅよう)などによるもの(続発性気胸)、交通事故などの外傷(外傷性気胸)などがあります。
気胸が進行し、肺から漏れ出した空気が溜まり続けると、胸の中の圧力が次第に高くなり、肺だけでなく心臓や大血管も圧迫され始めます。この状態が「緊張性気胸」です。
こうなると、呼吸が急に苦しくなったり、心拍数が上昇したり、血圧が低下したりします。さらに、手足が冷たくなったり、意識がもうろうとする場合もあります。放っておくと、心臓が全身に十分な血液を送れなくなり、命にかかわる危険な状態となります。
緊張性気胸の治療には、胸に穴を開けて太い針やチューブを用いて胸の中に溜まった空気を外へ逃がし、胸の中の圧力を下げる方法が取られます。これを胸腔(きょうくう)ドレナージといいます。緊張性気胸を強く疑う症状があり、時間の猶予がないと判断された場合には、胸部レントゲンやCT検査を行わずに、一刻も早く胸腔ドレナージを行うことが重要です。迅速な治療が生命を救う鍵となります。
緊張性気胸は、普段はあまり耳にしない病気かもしれませんが、誰にでも起こりうるものです。もしも胸が急に痛くなったり、呼吸が苦しくなったりしたら、ためらわずに医療機関に連絡してください。早めの対応が、あなたの命を守ることにつながります。

       

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