もし、あなたが100歳まで生きることができると言われたら、これからの人生をどう過ごしていきますか?
元気に、生きがいを持って、100歳まで生きる自信があるでしょうか。
今、日本は人生100年時代を迎えようとしています。
これからの人生を豊かに生き抜いていくための方法を一緒に考えてみませんか。
【人生100年時代がやってくる】
約100年前の1914年に生まれた人は、100歳まで生きている確率はわずか1%といわれていました。ある研究(※「ライフ・シフト」東洋経済新報社より)によると、2107年の世界では、100歳まで生きることが普通の光景となっていて、日本は2007年生まれの50パーセントは107歳まで生きると推定され、栄養、医療、衛生の技術改新によって現在、平均寿命は大きく上昇しています。
しかし、実際に100歳まで生きることができたとして、それだけで幸せといえる人生をおくれますか。
■磐田市に超高齢化社会がやってくる
2025年に、団塊の世代(第1次ベビーブームに生まれた世代)が75歳を迎え、日本の人口の4人に1人が75歳以上の後期高齢者という超高齢化社会を迎えます。
市では、高齢者ひとり暮らし世帯の数が10年で2倍近くに増えています。(平成24年9430世帯/令和4年17924世帯)
また、介護給付費は増加傾向にあり、介護需要がピークとなる2035年まで増加し続けるといわれています。
一方で、加齢により心身の状態が徐々に悪化していても、相談や支援につながっていない現状があります。
今後、介護サービスを必要とする方が、必要なサービスを受けられるように、改善の可能性がある方の自立と改善を促し、その人らしい暮らしができる仕組みづくりが、急務となっています。
■フレイルって知っていますか?
フレイルは医学用語で、病気ではないけれど、要介護と健康の中間の状態にある方、つまり、心身の状態に支障が出始めた方のことを言います。
フレイル状態の人は、自身のちょっとした衰えに気づきにくいため、受診や相談をすることなく、家でじっとしているケースがみられます。
また、周囲の方からの「しなくてもいいよ」という言葉で、それまでしていたことをやめてしまい、状態が悪化するケースもあります。
そして、自宅での生活ができなくなった状態で初めて、地域包括支援センターなどの支援機関に相談するケースが増えています。
フレイル状態に早めに気付き、諦めずに相談することで、その人に合った支援や対応で状態が改善し、その人らしい暮らしを取り戻すことができます。
※詳細は本紙P.4をご覧ください。
■自立と改善に導くプロジェクト
市では、心身の状態に支障が出始めた人(フレイル状態)を自立に導く仕組みをモデル的に行う「自立支援モデル共創プロジェクト」を実施しています。
現在はモデルの方を対象に実施し、今後は全市的に広がるように効果的な方法を検証しています。
◇プロジェクトの内容
心身に支障が出始めた方であっても、少しでも長く在宅で自立した生活を送ることができるように、専門の関係者が連携して、機能改善・回復を図ります。
◆プロジェクトの特徴
◇リハビリ専門職の同行訪問
対象者が以前の活動ができるようになるために、ケアマネジャーの訪問にリハビリの専門職員が同行します。
ケアマネジャーとリハビリ専門職員の支援により、対象者が以前の活動ができるようになるための課題を明らかにし、身体機能や生活の評価・指導を行います。
■100歳でも元気に過ごせる社会の実現に向けて(フレイル予防)
北原医院 北原大文 院長
100歳まで元気に過ごしたいものですが、年には勝てないのでしょうか?いいえ、多少弱ってきても頑張れば、まだまだ健康でいられるのです。多少弱っている状態をフレイルといいます。
では、どのように頑張れば、再び元気で健康でいられるのでしょうか?持病のコントロールはもちろんですが、それ以外に3つの大切なキーワードがあります。一つは、たんぱく質をとり、バランスよく食事をし、水分も十分に摂取するなどの「栄養」です。次に、歩いたり、筋トレをしたりするなどの「身体活動(運動)」。さらに、就労や余暇活動、ボランティアなどに取り組む「社会参加」です。特に社会参加をしている人は元気な人が多く、他人のために活動することがひいては自分の健康に寄与していることになります。
超高齢社会がさらに進んでいる現状で、若い世代に負担をかけずに充実して過ごすには、このフレイル予防がとても重要で、「栄養」「運動」「社会参加」を合言葉に頑張りたいものです。医師会や行政もそのための取り組みに頑張っていますが、ご自身の意識改革も必要ですのでご協力をお願いします。