■リンパ節腫大(しゅだい)、なにが原因?
血液内科 小谷内 克弥(こやうち かつみ)
風邪(かぜ)をひいたら、のどの近くのリンパ節が腫(は)れて痛くなったという経験はありませんか?リンパ節腫大(しゅだい)の原因のほとんどは感染症であり、数週間で良くなることが多いです。しかし、時に膠原病(こうげんびょう)、悪性腫瘍(しゅよう)といった病気が隠れていることもあります。
人間の体は全身にリンパ管が張り巡らされており、その中をリンパ液が流れています。リンパ管の途中には「リンパ節」があり、正常な大きさは1センチ未満です。リンパ節には免疫細胞が集まっており、リンパ液の中に細菌・ウイルス・がん細胞がいないかをチェックし、免疫の力で異物を排除する役割があります。例えばウイルスに感染すると免疫細胞がウイルスを排除しようとして、炎症が起きることでリンパ節が腫れます。
実際に私たちがリンパ節腫大の患者さんを診(み)るときには、診察と問診のどちらも大切です。診察ではリンパ節の大きさ、場所、痛みの有無などを確認します。一例ですが、痛みが強いと感染症を、2〜3センチ以上の大きさであれば悪性リンパ腫などの悪性腫瘍を疑います。問診では、いつから腫れているのか、どの程度のスピードで大きくなっているのか、最近熱や寝汗がないか、などの情報が大事です。短期間でリンパ節が何倍にも大きくなる場合は検査を急ぐこともあり、患者さんからの正確な情報が診療(しんりょう)の助けとなります。
症状がないと、リンパ節が大きくても様子をみてしまう方がいます。1カ月経っても腫れがひかない、短期間で急に大きくなるといった症状が当てはまる方は、一度病院に相談することを検討してみてください。