■低位舌(ていいぜつ)と口呼吸~自覚しにくい悪習慣~
歯科口腔外科 外山直人(とやまなおと)
低位舌、口呼吸の健康への影響についてご存知でしょうか。
まず、低位舌とは舌が正常な位置(舌の先端は上の前歯の根元、舌全体は上あごについている)よりも下にある状態のことです。舌は筋肉の塊で、話すときや食事をするときに重要な役割を果たします。低位舌の場合、舌の筋力が弱いことで気道が狭くなり、口呼吸になりやすかったり、滑舌(かつぜつ)が悪くなったり、むせやすくもなります。
次に、口呼吸についてです。鼻を通さずに口から空気を吸い込む状態で、慢性的な鼻詰まりや先に述べた低位舌などでお口をポカンと開けていることが多くなると、唇(くちびる)を閉じる筋肉が衰え習慣化します。鼻は吸い込んだ空気中の細菌やウイルスをキャッチし浄化するだけでなく、加湿、温度調整をする役割があり、口呼吸はこの機能を損なってしまいます。それだけではなく、口呼吸を続けると唇や口の中が乾燥する、歯並び・噛み合わせが悪くなるなど、さまざまな悪影響を及ぼします。
改善するためには鼻詰まりの治療は重要です。しかし、それだけではなく、低位舌、口呼吸はいずれもお口の周りの弱った筋肉のトレーニングが有効で、歯科医院など専門機関で正しい診断に基づいた指導を受けることが重要です。
低位舌と口呼吸は、子どもから大人まで影響を及ぼす可能性がありますが、対策を取ることでさまざまな問題を予防できます。最近なんだかむせやすくなった、お子さんのお口がいつも開いている、顎(あご)がしゃくれているなど、気になった際は、歯科医院への相談をお勧めします。