■脈の乱れ、放置していませんか?
循環器内科 科長
榊原智晶(さかきばらともあき)
私たちの心臓は、24時間365日休むことなく規則正しく脈を刻んでいます。その規則正しいリズムが乱れた状態を「不整脈(ふせいみゃく)」といいます。
不整脈になると、脈が飛ぶ、動悸(どうき)、息苦しいなど、症状の感じ方は多彩です。不整脈の種類は、健康な人にもみられる問題のないものから治療を必要とするものまで、いろいろとあります。その中でも特に高齢者や基礎心疾患(きそしんしっかん)がある方に起こりやすい不整脈が「心房細動(しんぼうさいどう)」です。心房細動は、放っておくと心不全(しんふぜん)や心臓の中に血栓(けっせん)を作り脳梗塞(のうこうそく)の原因になる可能性があります。中には無症状で経過し、検診で初めて気がつく方もいますが、その時は何ともなくても、将来的に心不全や脳梗塞を起こしてからではその後の生活に大きな影響が残ってしまいます。また不整脈がきっかけで、隠れていた重篤(じゅうとく)な心臓疾患が見つかるケースもあります。
不整脈の治療は、薬物で不整脈を予防する方法、足の付け根の血管から心臓に向かって細い管を通し心臓の筋肉の一部にやけどを作って不整脈を治療するカテーテルアブレーションという方法があります。アブレーション治療は、さまざまな種類の不整脈に対して行うことができ、病状にもよりますが、治療後の経過に応じて薬物治療を減らしたり終了したりできる可能性もあります。また不整脈そのものの治療だけでなく、不整脈に影響する持病の治療や生活習慣の是正(ぜせい)も大切です。
脈の乱れを感じて困っている方だけではなく、症状はなくても不整脈と言われてしまった方も、そのまま放置せずに、まずは一度かかりつけ医やお近くの病院への受診をお勧めします。