■アナフィラキシー
救命救急センター長兼
救急科部長
間遠(まとう) 文貴(ふみたか)
アレルギーは、さまざまな原因で生じ、花粉、蕎(そば)麦、金属など多種にわたります。大抵は鼻詰まり、蕁麻疹(じんましん)など軽症例が多いのですが、時には呼吸困難、血圧低下など、重症化します。アレルギー反応の重症型がアナフィラキシーです。
アナフィラキシーは、食物によるものが3割を超え、食事中や食後に起こることが多いです。予防は原因となる食物摂取(蕎麦、卵、豆類など)を避けることですが、外食やテイクアウトしたものでは、明らかでないことがあります。使用されている油などの調味料で起こることもあります。100%摂取を防ぐことは困難ですので、アナフィラキシーを起こした時の対応が重要です。治療にはアドレナリン(エピペン(R))を使用します。可能な限り迅速に注射することが有効です。過去にアナフィラキシーを起こした方には自己注射用薬剤のエピペン(R)が処方されており、これを救急車が到着する前に注射します。注射は患者本人が行いますが、症状によりできない場合は、近くにいる方(家族や学校の教諭など)に実施してもらう必要があります。
繰り返しますが、アナフィラキシーの治療で重要なことは、速やかにエピペン(R)注射を行うことです。不幸な結果となってしまった症例の中には、エピペン(R)投与の遅延が原因と考えられるものもあります。自分あるいは他者に注射することは確かに怖いことです。しかし、数分でも早く注射をすることで、良い結果をもたらすことが多いのです。アナフィラキシー、特に食物アレルギーなどでエピペン(R)を処方されている方は、家族を含め、注射の仕方をガイドブックや薬剤師の指導に従って十分にトレーニングしていただくことを強くお願いいたします。