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健幸 plus+『市立総合病院からのお知らせ』

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静岡県磐田市

■正しいがん情報を得る大切さ
緩和医療科部長
中澤 秀雄(なかざわひでお)

国立がん研究センターがん予防・検診研究センターがまとめた「がんを防ぐための新12か条」に「正しいがん情報でがんを知ることから」の項目が入りました。禁煙や食生活の注意ばかりでなく、正しい情報の入手も健康維持や病気治療に必要と認められたことは画期的です。がんになると不安になって情報収集をすると思いますが、※玉石混交(ぎょくせきこんこう)の情報の中から正しい情報を得ることは困難です。特にインターネットは、大量の情報がありますが、残念ながら人の弱味につけ込む商売も多数あります。国立がん研究センターによる「ganjoho.jp」など信頼できるサイトを参照してください。
当院では、適切な情報をお伝えするために、がん相談支援センターで相談を受ける体制を整えており、匿名でも相談ができます。また、市民公開講座などで正しい知識を得ていただく機会も設けています。講演会などには、今後がんになるかもしれない世代の方にも積極的にご参加いただきたいと思います。
日本人の2人に1人ががんになる時代になり、学生の皆さんにも正しいがんの知識を学んでもらうための取り組みが始まり、学校教育のカリキュラムにもがん教育が盛り込まれました。当院はこの4月から「地域がん診療連携拠点病院(高度型)」として、今まで以上に教育現場でのがん教育に力を入れています。お子さん、お孫さんにはご家庭でがんの話をするように促していますので、ご家族一緒に話し合っていただければ幸いです。自身ががんになったり、大切な人ががんになったときに困らないような社会になることを願っています。

※価値のあるものとないものとが、入り交じっていること

■正しく使おう抗菌薬
薬剤部長兼臨床研究管理室長
正木 銀三(まさきぎんぞう)

かぜの症状で受診をする患者さんから「抗菌薬はくれないの?」と相談を受けることがあります。皆さんはまだ抗菌薬を万能だと思ってはいませんか?
抗菌薬は、文字通り細菌と戦う薬です。細菌とウイルスは全く別の病原体のため、抗菌薬はウイルスには効きません。ウイルスによるかぜやインフルエンザ、そして新型コロナウイルス感染症に抗菌薬が処方されないのはそのためです。
世界的に抗菌薬の使い過ぎによって、抗菌薬の効かない細菌を生み出しています。これを「薬剤耐性菌」といいます。英医学誌ランセットによると、2019年に「薬剤耐性菌」により世界で120万人以上が死亡したとの報告もあります。薬剤耐性の問題に対してこのまま何も対策を取らなければ、2050年には年間1000万人が薬剤耐性感染症のために死亡すると推定され、将来的には感染症で苦しむ子どもたちに有効な抗菌薬を使用できないかもしれません。
このような背景を受け、各地域の中核病院では「抗菌薬適正使用支援チーム」を設置し、感染症や抗菌薬に専門的な知識を持った医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師が、患者さんの個々に応じた「適切な薬剤」を「必要な場合に限り」、「適切な量と期間」使用することにより、治療が完了できるよう支援しています。
「薬剤耐性菌」を作らない、拡大させないために、日頃から抗菌薬を適切に使うことが大切です。そのためには、市民の皆さんにもご理解いただき、治療にご協力をいただくことも必要となりますので、ご理解とご協力をお願いします。

       

磐田市より市民のみなさまへ大切な情報をいち早くお届けします。 広報プラス -広報いわた-

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