■俺の名前が分かるか?
『だいくとおにろく』
松居 直/再話
赤羽 末吉/画
福音館書店
昔、激流の川への難しい橋かけを頼まれ、困っている大工がいました。そこへ大鬼が現れて“お前の目玉よこせば、橋は俺がかけてやる”と言います。そしてすぐに橋をかけてしまいましたが、目玉はとてもやれません。すると鬼は“ならば俺の名前を当ててみろ”と言いますが、大工には見当もつきません。焦って逃げまどう大工の耳に、ふと子守歌が聞こえてきました。
迫力のある鬼や、一場面おきに白黒になる絵が、ちょっぴり怖く感じさせ、この昔話の世界に入り込ませてくれます。お話を聞く子どもは、まるで自分が鬼に迫られている大工であるかのようにハラハラすることでしょう。子守歌から答えを知った大工は名当てに挑み、わざと何回か間違えてから、最後の最後に言い当てます。緊張感が一転、ほっとする結末です。不思議なことに、外国にも同じような「名前当て」の昔話があります(「ルンペルシュティルツヒェン」など)。読み比べてお楽しみください。
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