■春先の肌荒れ・湿疹にご注意を
理事兼皮膚科部長
橋爪(はしづめ) 秀夫(ひでお)
春先になると、顔などの露出部に痒(かゆ)みを訴える方がいます。花粉の飛散量が多いときは、鼻水、鼻詰まり、目の痒みだけでなく、頬(ほほ)や額(ひたい)にも痒みが出現する場合があり、花粉皮膚炎かもしれません。これはアトピー性皮膚炎などの花粉に対するアレルギーのある人に起こる一種の接触皮膚炎(かぶれ)です。
また、春先になると外出機会が多くなり、紫外線を浴びる時間も長くなります。紫外線に過敏な皮膚、光線過敏症(光かぶれ)も春先の疾患です。ともに、顔面に皮疹(ひしん)が出現することが特徴ですが、原因は全く違います。
アトピー性皮膚炎の方の多くは、スギ花粉やハウスダストなどに対するアレルギーであることが知られています。最新の検査では、一度に39種類のアレルギー物質を調べる方法があり、多くの種類の花粉についての情報を得ることができますから、一度病院で検査することをお勧めします。花粉皮膚炎の方は、顔の湿疹予防のため、外出前の保湿クリームの塗布(とふ)や外出後の洗顔、また洗濯物を干す場合、下着などの直接身につけるものは、風の強い日には室内乾燥させるなどの注意が必要です。
光線過敏症は、紫外線が当たることによって、内服している薬や付けている化粧品などが化学変化を起こして皮膚に影響を及ぼす病気です。原因となる物質を見つけることが治療となりますから、薬剤や化粧品を持参し、病院に受診することが重要です。
何かと外出機会が多い春先ですが、肌荒れ・湿疹などを起こしやすい方は、対処方法を知って快適に過ごしましょう。
■認知症高齢者にやさしい地域づくりを目指す当院の取り組み
認知症看護認定看護師
鈴木(すずき) 智子(ちえこ)
わが国における認知症高齢者数は、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人に達すると見込まれています。国は、認知症の人の意志が尊重され、できる限り住み慣れた地域で自分らしく生活が続けられるよう「認知症高齢者にやさしい地域づくり」を推進してきました。
当院では、(1)認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進、(2)認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護などの提供について取り組んでいます。
(1)院内に広めよう「認知症サポーター」
認知症高齢者やそのご家族を温かく見守り支援する応援者として、多くの認知症サポーターが活躍しています。当院でも認知症サポーターを養成しており、現在までに約200人のサポーターが誕生しています。看護師や看護補助職員、リハビリスタッフなど職種はさまざまです。コロナ禍で面会制限がされていますが、サポーターがご家族の代わりとなって、認知症高齢者に寄り添いながら療養生活を支えています。
(2)病院・施設同士で繋がる認知症高齢者支援の輪
当院では、認知症高齢者がどこでも安心して過ごせる療養環境づくりを目指して認知症ケア研修を開始し、市内病院の看護師育成を行っています。認知症の状態を理解し、その人に合わせた支援が継続されていくことが重要だと考えており、研修により知識を身につけたスタッフが自施設で活躍しています。研修を通して病院・施設の看護師が交流を重ね、市内の認知症高齢者を支える支援の輪を拡大していきたいと思います。