■肝臓のロボット手術が始まります
消化器外科 科長
神藤 修(じんどうおさむ)
肝臓の腫瘍(しゅよう)に対する最良の治療法は肝切除です。従来から行われてきた大きく開腹する手術に加えて、当院では腹腔鏡(ふくくうきょう)手術も行っています。これは、小さな創(きず)からおなかの中を腹腔鏡(カメラ)で観察し、各種の鉗子(かんし)(手術器具)や電気メスなどの器具を操作して肝臓を切除する手術です。この手術は開腹手術と比較して患者さんの体への負担が少ないため、手術後の回復が早く、早期の退院・社会復帰が可能となっています。
今年8月、当院に「ダヴィンチ」という最新の手術支援ロボットを導入しました。今までの腹腔鏡下手術ではモニター画面を見ながら手術を行なっていましたが、ダヴィンチ手術では術者はコックピットのようなコンソールボックスに座り、立体的な画像であたかもおなかの中で自分が動いているかのような感覚で手術することができます。ロボットアームが術者と一体となって自由かつ繊細に動くことで、スムースで精緻(せいち)な手術操作ができるようになり、腹腔鏡手術観察下での肝切除の可能性が広がります。
ロボット支援下肝切除は新しい術式で、今年4月から一定の施設および術者の条件を満たした場合に保険適応となりました。当科では来年1月の開始をめざして準備中です。
肝切除は個々の患者さんの状態に応じて最良の術式を選択することが重要です。すべての肝切除がロボット支援下でできるわけではありません。肝切除を受けることになった場合、その方法の一つにロボット支援下手術が挙がる際には、担当医とよく相談して決めることが大切です。