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〈特集〉豪雨の爪あと(1)

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静岡県磐田市

川に 育まれ
台地に 支えられ
悠久の 時を刻む このふるさと
今 未来を信じ 伸び行く いわた
(磐田市歌「ふるさと いわた」より)

山や川、海などの豊かな自然に育まれてきた、私たちのふるさと いわた。

9月23日から24日未明にかけて接近した台風15号は記録的な大雨をもたらし、
いつもは穏やかな山や川は、牙をむいて私たちのふるさとに襲い掛かりました。

■一夜にして 深い爪あと
9月23日午前に熱帯低気圧から台風となった台風15号は、線状降水帯の発生などにより、予報を大幅に上回る記録的な大雨をもたらしました。
雷を伴い容赦なく降り続けた雨は、降り始めからの総雨量が、豊岡地区で平年の9月1カ月分の1.5倍となる336.5mmに達するほどでした。
雨の降り方は、市内でも場所により大きな違いがありました。1時間あたりの最大降水量は、竜洋地区で19時、磐田地区で19時10分、福田地区で19時40分に記録しましたが、豊田地区では22時10分、豊岡地区では22時40分と時間差があったことが分かります。

9月24日、一夜明けた市内は、前夜の荒天が嘘のような秋晴れと、夏を思わせる暑さとなりました。
視線を落とすと、そこには前日までは想像もできなかった傷ついたふるさとの光景が広がっていました。

・大量の土砂と倒木が家屋や工場を飲み込み、県道磐田天竜線をふさいだ。(平松-神増)
市の南北をつなぐ幹線道路は、この後約1カ月にわたり不通となった。
・基礎部分が削られ、フェンスが宙に浮いてしまった。(大久保)
・道路標識を飲み込んでしまうほどの高さまで土砂が堆積した。(神増)
・敷地川に架かる下田橋。増水により橋脚が破損し、橋げたは折れ曲がった。(家田)
・サッカーゴールが流され、グラウンドは土砂で茶色く染まった。(稗原グラウンド)
・国道1号線との立体交差の下を通る市道は、冠水し通行止めとなった。(三ケ野)
・太田川に架かる新屋橋は一部が流失した。(向笠新屋)
・豊岡北小学校では校舎や体育館などが浸水した。(下野部)
・土砂に巻き込まれ、変形したバス停。(神増)
・磐田原台地のへりが崩れ、大量の土砂が住宅地に流れ込んだ。(平松)
・濁流に飲み込まれ、大量の流木やがれきに覆われた太田川にかかる稗原橋。(稗原)
・何カ所もの土砂崩れが発生し、山肌があらわになった。(下野部)
・舗装が削られ、水道管があらわに。自動車は路肩に転落していた。(上神増)
・激しい濁流で護岸ブロックが流され、堤防は決壊した。(敷地川)

※写真は本紙P.3~6をご覧ください。

《被災状況(10月31日現在)》
浸水被害:床上浸水299件、床下浸水474件
河川被害:6河川22カ所(雨垂川、敷地川、向陽川、中川幹線排水、一雲済川、上野部川)
橋梁被害:2カ所(下田橋(敷地川)、新屋橋(太田川))
道路被害:市道5路線9カ所、県道1路線
農業被害:農地233カ所(田:55カ所・7.71ヘクタール、畑:178カ所・15.01ヘクタール)
※被災箇所数は、災害復旧事業等により対応を予定するものを計上

■明日への希望を信じて
やらまいか――。
被災地の一画に掲げられたメッセージです。地域に根付いたこの言葉には『やってやろう、やろうじゃないか』という思いが込められています。
目を覆いたくなるような光景を目の当たりにしながらも、発災直後から、地元自治会や地域の皆さんは、土砂の除去やがれきの撤去など、自主的に復旧作業に動きだしました。
自分たちのふるさとは、自分たちで取り戻そうという「やらまいか」の思いは、豪雨に流されることはありませんでした。
復旧作業には、市内外から集まったボランティアの皆さん、磐田市消防団員の皆さん、豊岡北小学校や豊岡中学校の保護者の皆さん、市との災害協定などに基づき、災害ごみの処理や道路復旧などにご尽力いただいた事業者の皆さん、各種団体の皆さん、この他にも「地元のために、磐田のために」と数え切れないほどの皆さんにご協力をいただきました。
市の復旧業務には、国土交通省浜松河川国道事務所や、静岡県袋井土木事務所から災害復旧への技術支援を受けました。また、市の友好都市で、災害時相互応援協定を締結する長野県駒ヶ根市、岡山県玉野市などからもさまざまなご厚意をいただくなど、支援の輪は全国へと広がっていきました。

       

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