遠江国分寺跡(とおとうみこくぶんじあと)は、昭和40年代に史跡整備が行われました。その後、40年余りが経過し、整備した基壇(きだん)跡には破損が見られるようになり、トイレや舗装した園路がないことから、より国分寺への理解を深めてもらえる史跡公園を目指して再整備事業を進めています。
今年度から再整備工事にとりかかり、公園の北側部分の樹木整理・取り壊し・造成の後、一部の園路設置・芝張りを行います。令和4年度からは基壇の復元などを順次進めていく計画です。
▼遠江国分寺の建立
奈良時代の天平(てんぴょう)13年(741年)、時の聖武(しょうむ)天皇は、農作物の不作や伝染病が流行していたため、仏教の力を借りてこれを取り除こうと、各国ごとに国分寺をつくるように命じました。このうちの一つが遠江国分寺で、国府(こくふ)(国の役所、現在の県庁にあたる)があった磐田に建てられました。
昭和26年(1951年)の発掘調査により、金堂・回廊・講堂・塔の跡が確認され、主な建物の配置が明らかとなりました。翌年には国の特別史跡に指定されました。
▼再整備にともなう発掘調査
平成18~26年度に、史跡指定地内の発掘調査を行いました。
建物の土台部分の基壇が木の板や柱で覆われた木装基壇であること、金堂(こんどう)正面に木製の灯ろうが立てられていたことが分かりました。また、僧房(そうぼう)の跡も新たに見つかりました。
◆再整備イメージ図
○基壇整備
建物の土台である木装基壇を復元します。
○灯ろう
金堂の正面に立てられていた木製の灯ろうを復元します。
○園路
史跡内を散策しやすいよう舗装した園路を設置します。
○芝張り
広場部分に芝を植栽します。
○樹木整理
樹木の根が地下に残る古代の国分寺の遺構を傷めていることが発掘調査によって判明しています。また、史跡公園全体の見通しを良くするために、やむをえず大部分の樹木は伐採します。
○造成
凹凸を少なくし全体をフラットに造成します。
○休憩場所
園路沿いに休憩するためのあずまや、ベンチを設置します。
〔木装基壇復元イメージ〕
版築の土台を板と柱で覆っていました。
・礎石(そせき)
建物の柱をのせ、下から建物を支える大型の石
・葛板(かずらいた)
束柱・羽目板を上から覆う板
・束柱(つかばしら)
羽目板を固定する円形の柱
・羽目板(はめいた)
土台の側面を覆う板
・版築(はんちく)
土を少しずつつき固めて高くした盛り土
※詳細は本紙10-11ページをご覧ください
問合せ:文化財課(埋蔵文化財センター内)
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